介護現場で増え続ける身体拘束という問題と実話
目次
身体拘束をゼロにしよう
近年、介護現場での身体拘束は増え続けていると言われています。
厚生労働省では、平成30年度の介護報酬改定で身体拘束を厳罰化する改定を加えました。
身体拘束が起こり得る要因としては、
介護現場の人手不足や認知症高齢者などの増加に伴った
介護職員のストレスによるものかと思われます。
身体拘束をなくすべく、取り組みを行なっているところもあります。
私が以前勤めていた施設では、身体拘束をなくす取り組みを強化していました。
身体拘束をしてしまう前になにか他の対策を考えるようにしていて、
徘徊が多くて施設外に出て行ってしまう入居者には
とにかく見守りの強化と声かけの仕方による勉強会などを開いて周知するようにしていました。
オムツいじりがある入居者には、
ムレが気にならないようにこまめなパットこうかんを心掛けていました。
立ち上がりがある入居者には見守りはもちろん、
なにかお手伝いしてもらうなどして気を紛らわせたり
下にマットを敷くようにしていました。
「どうしてそのような行動をされるのか」
という背景を考えて、その入居者に気持ちになって考えていくことが大切なのです。
こうした対策はどこの施設にも必要なことなのではないでしょうか。
身体拘束の実態
身体拘束に、は
- スピーチロック
- ドラッグロック
- フィジカルロック
のスリーロックがあります。
スピーチロックは言葉による行動の制限で、例えば「動かないでね」「〜しちゃ駄目」などの言葉が含まれています。
ドラッグロックは薬の過剰服用や不適切な服用をさせて行動を抑制することです。
物理的な身体拘束はフィジカルロックと呼ばれていて、目に見える身体拘束はこれに該当します。
中でもスピーチロックとドラッグロックは介護する側も
自覚がないまま行なっている場合も非常に多いので、
周囲が気付いて注意を促す必要があるでしょう。
近年はセンサーマットや介護用ロボットによる
見守り方法についても問題視されていおり、
どこまでが身体拘束になるのかも難しいところです。
やむを得ない身体拘束とは
場合によっては身体拘束もやむを得ないと
厚生労働省が定めているのが、切迫性・非代替性・一時性です。
本人の命や身体に関わる危険に晒される可能性が高い
とされる場合や他に代替する方法がない場合、
その拘束が一時的なものである場合のみ認められるというものです。
例えば酸素のチューブを外してしまう入居者などが該当するかと思います。
特に病院や療養型施設では医療依存度の高い入居者が多いので、
身体拘束がやむを得ない状況もあるでしょう。
それでも、身体拘束は本人の
人権侵害・虐待・尊厳を無視した行為なので許しがたい行為です。
精神的にも本人に苦痛を与えてしまいますし、
ご家族にとっても家族が身体拘束をされているとなると後悔や怒りがあるかと思います。
私が目撃した身体拘束の現場
今までいくつかの介護施設での経験を経て、
やはり身体拘束を暗黙の了解のようにしているところもありました。
ニュースで流れるような介護施設での虐待や事件なども、
メディアで取り上げられている以上にあちこちに隠れているかと思います。
眠剤を服用していても寝られずに叫んだり
ベッドから降りてしまおうとする入居者も少なくありません。
それでは困るとストレスを感じた
介護職員・看護師が眠剤を過剰服用させて寝かせるようにしていたり、
それでも寝てくれない時は部屋を真っ暗にして扉を閉めて知らんぷりでした。
その入居者は「怖いよ」「誰か来て」と泣いて叫んでいたことを今でも思い出します。
若年性認知症でとにかく徘徊や異食が激しい入居者もいて、
暴言を吐く職員も多かったです。
「もううっというしい」
「駄目だって言ってるでしょ」
「ほんと最悪」
なんて言葉はしょっちゅうです。
時には、あまりにも徘徊がひどいからと
部屋に入れて鍵を閉めてしまう職員もいました。
でも、それは認知症のせいでもあり職員の暴言によって
余計に不穏な状態になってしまうのも問題なのです。
言ってしまえば、職員がその症状を悪化させているという悪循環です。
そんな状況に耐えきれずに上司に話をして、
私もそんな施設にいたくないと退職をしました。
もし自分の家族がそんな目にあってしまったらと思うと辛くて、
自分は絶対にそんな介護はしないと心に決めて日々働いております。
まとめ
いかがですか?
介護福祉士さんの生の声です。
高齢化社会の問題はこのように
体裁だけを整えて幸せ感を演出するだけではだめで
問題点を洗い出し、発信し、取り組む人の一人一人の意識に訴え
皆で改善していかなければいけないと考えています。
あなたも経験談などああればお便りをお待ちしています。